物価は上がるし、住宅価格も上がる。

オーストラリアにきてかれこれ1年半近くが経つ中で、当たり前のように聞こえてくる話として、物価上昇と住宅価格上昇がある。
物価上昇は世界的な流れで出てきているので、当然といえば当然の事象だし、これまで30年近く物価上昇が見えなかった日本でさえも上昇しているので、状況は認識しているけど、上がり方と頻度にはなかなか慣れない。
住宅価格もコロナ禍とその後の金利上昇で一時的には落ち込んだけど、2023年初め近辺から回復し始めて、そこからは上昇傾向が継続中。

住宅価格の上昇は主要都市で7−9月期に1.9%上昇。上昇幅は小幅だったという見解ではあるが、継続上昇していることには変わりなし。大手銀行の予測では年間の上昇率は8%を予測していて、需給バランスが悪いことが価格上昇の要因、政策金利の上昇と借入余力の減少が価格抑制の要因としているが、需給の方がインパクトが大きいということらしい。
そもそも、住宅価格の上昇は経済に対して、全体的には良いことなのか?

住宅価格が上昇すると資産を持っている人は評価が上がるので、心理的には良いことなのだろう。ただ実際に使えるお金を得るには売却が必要で、居住用の場合は売却して住み替える必要があるので、それほど簡単なことではないのだろう。将来的な資産という観点では意味がある。
投資用に保有している場合は、高値で売却してローンの残額を返済すれば自由に使えるお金が手に入るので良いこと。

住宅価格が上がると、その近辺の賃料が上昇するので、賃貸に住んでいる人は支出が増えるので家系的にはマイナスの影響。ただ家主はその分もらえる額が増えるのでプラス。まぁローン返済に充てているなら、それほど大きなプラスにはならない。

この観点で気になるのは住宅ローン金利の上昇で返済額が増えているという点。
2022年に入って中央銀行が連続的に利上げをしたので、短期金利が上昇して、変動金利型の住宅ローンの適用利率が上昇した結果、返済額に占める利息額が大きくなりローンで住宅を保有している家計は可処分所得が減少するという事態に陥っている。
投資用だとしても賃料で返済を賄えているならば良いが、逆鞘になっていると貯蓄を切り崩して支払いを続けるか、物件を売却するかの選択になる。物件価格が上昇しているならば、売却してしまうのも一案なんだろう。

そんな中、中央銀行はというと、物価の上昇が目標レンジの2−3%を大きく超えている状況なので、利上げを基本的には行う姿勢でいる。
ただ、あまり上げすぎると経済状況を冷え込ませてしまうので、簡単にはできないという難しい舵取りがあるのだろう。中央銀行総裁は、今の金利水準でも物価は目標に近づいていくが時間がかかるといういうことで、利上げはしていく方向で考えているらしい。

利上げがあると、物価は抑制される方向になるはずなので、家計に対しては良い方向になる可能性も高いが、経済の冷え込みで所得自体が減少するようなことに繋がらないようにしていこうとしても、自国以外の要因が多くて、機動的に動かすにも簡単ではない、というとても難しいことをしているのだろう。

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