ドイツで週休3日にする案が労働組合から出て来ているらしい。
週4日働いて、週3日休む。ということで、コロナ禍で痛手を負っている状況からの回復が狙い。しばらく労働者も企業も一緒に我慢して、マクロ経済の回復を待つということ。これを言い出したのがドイツ最大の産業別労働組合のIGメタル。
つまるところは、週5日労働で企業が倒産したり、リストラに入るくらいなら、雇用維持のために1日休みを多くして、大きな意味でのワークシェアリングを行う、ということと理解。
雇用調整やリストラで、明らかに痛みを被る人を減らして、広く薄く労働者も企業も痛みを分かち合うのであれば、これはこれで良いアイデアに見える。
合わせて休業補償を出すならば、結果的には企業倒産や失業率上昇を回避できるのでOKなのかな。
(1)”労働時間の減少、部分的な賃金補償”vs(2)”失業者の発生、失業保険の給付”
どちらが直接的な金額のインパクトとして大きいのか?
将来的な成長性低下に対してインパクトが少ないのか?
を比較検討することが必要なのだろう。
(1)の賃金補償の原資が企業から出るならば、企業は週5勤務よりもトータルの賃金支払いは減少。ただ週4勤務よりは支払い増加。キャッシュアウトが減少するので、補償額次第だが資金繰りで苦しくなるタイミングは先送りできそう。
原資が政府から出るならば、企業は直接的にインパクトが見えないが、財政負担の増加で将来的に企業を含めた納税者で負担。これを行うことで将来の経済回復タイミングが、やらない時より早いならば徴税による財政負担分の取り戻しができるのでOK、とみることができそう。
(2)の場合、企業がリストラを行うためにリストラ対象の労働者に割増手当てを支払う必要が出てくる。そうなると業績が厳しい中で、さらにキャッシュアウトが増加。結果として、より多くの失業者を産み出すことになり、企業が回復するにも時間がかかることになる。かつ失業者は失業保険の給付を受け、仮に経済回復に時間がかかると生活保護などで財政負担が増加する可能性も高い。
もっと多面的な分析、時間経過を勘案した分析を行うと違う結果が想定されるのかもしれないが、Covid19禍でワークシェアリング、ベーシックインカムの議論がなされていることを考えると、今回の労働組合側からの提案というのは検討の余地があると思える。
ただ、週休2日というのが宗教的な概念からスタートしているのであれば、「じゃあ、明日から週休3日で!!」みたいな軽い乗りでの導入は信心深い国だと難しいのだろう。
合わせて公共サービスや教育サービスとかも制度の変更をするのか、一時的だから企業労働者だけですますのか、という制度設計的な面からの検討も必要なのだろう。
個人的には、週4日勤務で生活ができる水準で休業補償が出るならば、その選択肢を労働者に提示するのはアリな気がする。残りの3日を休むのか、副業をするなどして所得を獲得する機会を自ら探すのか、という選択肢を提示することも一案だと思う。
コメント