いくつかのニュースを組み合わせて見てみるが、いまいち結果に繋がる原因が見えてこない感じがする、というのがタイトルの話。
まず住宅価格が上昇している、という件については、2023年7月からの1年間で見て、住宅価格は8%上昇したということがコアロジックのデータで公表された。
価格が上昇した要因は、かなりシンプルなもので、需要に対して供給が追いついていないため、ということらしい。
需要は人口が増えたり、コロナ後はシェアハウスを避ける人が増えたり、ということなのだろう。供給は住宅開発を進めているが、材料費の高騰や労働者不足があるために進んでいないということ。
国土は広いが、都市圏が限定的であり、人口増加に対して住宅供給が間に合っていない点は以前から言われていること。最近では賃貸目的の集合住宅の開発が認められることで供給増加が期待されているが、時間はかかる。
少し穿った見方かもしれないが、不動産価格を一定に維持するために政策として、供給量を限定していたのかと想像してしまう。国民の資産形成の観点で価格を維持するのは、悪くない方針だろう。
これとは別で、中央銀行がインフレ抑制の観点で政策金利を引き上げて、その結果として住宅ローンの返済金利が上昇している、という状況もある。
これに関しては、インフレを抑制することが目的で、そのツールとして政策金利を引き上げて、経済活動を抑制することをきっかけにするのだが、思ったほどインフレ率は下がらず、住宅ローン債務者が返済負担の増加で生活が苦しくなる、という状況が発生している。
住宅ローン返済者は、オフセット口座に資金を貯めて、住宅ローン金利の負担額を下げ得る行動を行っており、貯蓄が増加するので経済活動が抑制される方向としては効果があるだろう。
ただ、他に必要となる生活コストも増加しているので貯蓄ができない世帯は、単純に生活が厳しくなって、住宅を売却することになるのだろう。
実際に住宅ローンの一括返済が増加しているらしいので、これは借り換えができたためなのか、売却で資金を手当したためなのかまでは分からないが、価格が上がっているので売却して一括返済に回した人が多いのだろう、と想像してしまう。
いずれにせよ、金融引き締めで経済活動を抑制しようとしているのに、インフレは下がっていないことを見ると、金融政策だけでインフレを収めるのが難しい状況なのだろう、と想像するところ。
経済活動を抑制するために通貨の流通速度を抑えるのはわかりやすい政策だが、収束する感じがしないのは、原因と手段がズレているからなのか。
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