オーストラリアの住宅価格は上昇予想

金融ニュース

National Australia Bank(NAB)が今後2年間で主要都市の住宅価格が10%上昇する可能性があると見ている。4月時点では、住宅価格の下落を予想していたが、上昇に反転させた。
シドニー、メルボルン、パースでは大きな価格上昇を予想しており、22年の下落から反転するとの見方を示している。

コロナ禍が去り、移民の流入などによる人口増加と住宅不足で価格上昇の傾向が出ていると見られている。特に住宅の供給に関しては、金利上昇により借入が難しくなるなども背景にあって、需給バランスが崩れて価格上昇の圧力が掛かっている様子。

なお、住宅価格は2023年2月に一旦底打ちした状況で、その後は上昇に転じている。NABは年内にあと2回の利上げを予想しており9月には4.6%になるとみている。

需給バランスが崩れたことで住宅価格が上昇しているということだが、実際に居住用として保有する目的の物件の上昇と投資用物件の上昇があるのだろう。需要過多で物件価格が上昇したということは、本来であれば居住用として購入を希望する人が「高過ぎて買えない」であれば、「しばらくは賃貸」と流れることで、投資用物件の賃貸料も上昇し、その結果として投資用物件の価値も上昇して、結局は住宅価格の上昇が止まらないことになる。

何があると住宅価格の上昇がとまるのか?という点では、需給バランスが落ち着いてくることしか想定されない。
供給が多くなる、というのは実際に物件が新しく供給されてくることくらいしか想定されないが、今日建築をスタートしても完成するには数ヶ月かかるので、すぐに価格が落ち着くことはない。
需要が減少する、というのは人がいなくなる、シェアをするなどが想定される。今のところ、賃金も上昇しているので職を求めている人が去ることでの急激な変化は想定し難いのでは?となると、シェアハウスへの入居が増えて、多少需要が減少する可能性はあるが、シェアハウスを利用するのは独身者がメインで家族持ちがシェアハウスに入ることは想定し難いので、結局は家族用物件の需要は下がらないので価格が落ち着くには、家族持ちが生活できないために地域から離れることになる。

そうなると、行政としては将来的な地域の衰退要因となってくる可能性があるので、なんとかして家族持ち用の住宅補助政策を考えていくことになるのだろう。
その観点では、先日のVIC州の家賃上限設定などは急場の策としては一理あるのかもしれない。しかし、それにより不利益を被る人もいるわけで、そこに対してどのように手当が行われるのか、何かセットで別の政策を打つなどの必要性が出るのだろう。

いずれにせよ、不動産市況が好調な状態は一見悪くないように見えるが、急激な高騰は需給の両面で悪影響をもたらす可能性が高い感じを受ける。
特に家賃が払えないことで経済的に困窮する人たち、家賃が入らないことでローンを支払うことができない家主の発生など、ぐるっと回って不動産価格の反転に繋がらないのか???と勘繰ってしまう。

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