豪GDPは予想と一致の+0.2%。悪くはないがよくもない。

オーストラリア統計局が6日に2023年10−12月期のGDPを発表した。
結果は+0.2%で予想と一致。前四半期比でも変化なし。前年同期比で+1.5%でこちらも市場予想と同じ水準。
市場の反応は、金利がパラレルに低下。金利政策が引き下げ方向に近づいたと考えた反応か、指標が出るまでは景気がもう少し悪いと考えてショートしていた市場関係者が買い戻しを行った結果なのかは、ショートポジションの状況変化を見てみないとわからない。

今回の結果を見て、エコノミストはRBAの金融政策には影響はないだろうという見方をしている。そもそも、年内に金利引き下げを見込んでいるので、予想通りの展開であれば、見方を変化させないというのは、当然の帰結といえばそういう感じもする。

中身を見てみると、下がったもので気になったのはタバコ、アルコール。これは嗜好品なので支出を下げようと思えば、ある程度下げることができる。一方で上昇したものは自動車、交通サービスなどで、こちらは燃料なども入っているので、インフレで価格が上がっていて、かつ利用を制限するのが難しい面もあるので、増加しているのも自然なものと受け止められれる。

なお貯蓄率は上昇しているということで、裁量的支出を減少させて、貯蓄に回している家計が増えているのかもしれない。
仮に、家計を国単位の大きさで考えるとタバコやアルコールなどの嗜好品への支出が減少して、貯蓄率が上がっているということは、将来の支出増加に向けて節約しているような動きに見える。家計の住宅ローンの返済の負担が大きかったり、将来的に物価がまだ上昇するので、現在の消費を抑える、という選択をしているのかもしれない。

金利が高い状況であれば、貯蓄は利息収入を生み出すので、将来への支出の原資になる点では大きな問題には見えない。ただ、家計は個別になっているのでミクロで見ると、持てるものは高い金利の恩恵を受けるが、持たざるものは高い金利から恩恵もなく、他方で支払いが増えて、よりいっそう厳しい環境に見舞われる可能性が高い。
そうなると、やはり再分配をどのように効率的に行えるか、ということが重要になるのだろう。

税で行うのが良いのか、補助で行うのが良いのか、公共経済学の基本的な論点になるだろうが、制度設計の観点が入りつつ、個人の行動への影響もあるので、マクロとミクロを合わせた議論があるのだろうが、どこまでシンプルにして考えて、それを現状に即した形に持っていくのか。
コンピューターやAIが発展してきていることで、数理モデルで解くよりも、実際のデータから結果を導き出したほうが手っ取り早いのかもしれない。

ただ、新しいことを導入すると個人の行動がこれまでとは異なる可能性が出てくるので、そうなるとAIで導き出された案が、正しい姿になるのか?という疑問は残る。
随時、アップデートしていくことでより良い制度になるのだろうが、再分配のような大きな政策だと、細かな変更を都度都度で導入するのは、これまた制度への信頼感とか、それを受けた行動の変化に繋がるので、理想系はどこまで追いかけても辿り着かないのかもしれない。

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