移民増加による外部効果

OECDの発表で、オーストラリアでは移民が増加しており、その移民によって生産性が上昇し、移民以外の人の賃金の引き上げに繋がっている、ということらしい。

大きな要因は、移民してくる人々の教育水準が高く、約60%が高等教育を受けている人になっているとのこと。一方で、オーストラリア国民の高等教育を受けている水準は約40%ということで、教育水準の高い労働者が入ってくることで、生産性が向上し、かつ賃金が高いことから、正の外部効果がオーストラリア国民に対して働いているらしい。

外部経済の効果が出てくるのは、生産性が高い労働者が増えて、効率的になることで、当該労働者の賃金上昇をもたらすことは当然として、その可処分所得から支出が行われることで、経済に正の循環がもたらされるので、周りの人々の賃金上昇にも影響を与えているのだろう。

仮に、より生産性が向上していき、大きな労働力が不要になり、かつそれまで自国民が就労していた分野に高等教育を受けた移民が参入することで失業者が増える場合は、どのような反応が出てくるのだろう。

単純労働の場合は、自国民でも移民でも教育水準に関係なく、就労できる分野であって、そこを移民に取られた場合、自国民は怒って、政治面での不安要因になる可能性が高いだろう。
一方で、一定の教育水準が必要になる労働の場合は、仮に自国民が移民によってその職を追われても、教育水準があるため職を探すことは可能で、急に政治的問題が表面化することにはならないのだろう。もちろん、高い賃金を求めていた労働者が、職が見つからないことで、賃金水準を下げて職を探し、その職にいた層が更に下の賃金階層に下がっていくなどの連鎖効果が出てくると、将来的には政治不安が出てくることになるだろう。

ただ、低賃金労働者が直接的に移民に職を奪われるのではなく、自国民の労働者に職を奪われる(間接的に移民の影響を受けている)場合jは、移民排斥のような極端な考え方ではなく、政治に対して生活保障を求めたり、雇用創出を求めるなどの行動になるのだろう。
以前にアメリカや一部欧州で起こったような、極端な移民排斥論は出てこずに、緩やかな政治要求がなされてくるのだろう。

いずれにせよ、人口増加が経済を大きくすることは確かなのだろうが、どのように大きくしていくかは、受け入れる移民によってかなり違う景色になるのだろう。

オーストラリアが、その観点で優位性があるのは英語が公用語であるのが大きいのだろう。
日本の場合は言語面での外国人に対するハードルが高く、ビジネスにおいても日本語が活用できるないと就労できる企業や職種が極端に少なくなる傾向が高いのだろう。
一方で少子高齢化で単純労働に対する労働力が不足していて、そこに外国人を導入しようとしているが、低賃金労働に対して、外国人労働者が魅力を感じるのかについては疑問がある。

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