生活費の上昇が小売業にネガティブだが、ゼロにはならない

オーストラリアの小売売上高が減少している。
表に出ている状況はかなりシンプルで、生活費が高騰したので買い控えが出ている、というもの。
これを受けて、小売業の株価が下がっているということ。

生活費の高騰の理由はどこにあるのか?と考えると、インフレによるもの、それに伴い金利が上昇してローン返済に充てる資金も増えている、ということだろう。
インフレは燃料価格の上昇からスタートして、労働力不足で賃金が上がっていて、企業側で価格上昇の調整が入っているので、生活費が高騰する、という流れ。
金利上昇は、中央銀行の持っているインフレのターゲットレンジ2−3%を上回る状況が続いているので、金利を引き上げて対応しているわけで、ローン返済がある家計は可処分所得の減少要因になるので、消費に回る資金が減るのも仕方ない。

生活費の上昇と賃金の上昇の幅と時間差がある限りにおいては、小売売上高が減少するのは、避けようがない事実なのだろう。
あと、生活必需品に関しては、買わないという選択肢がないわけで、それまで購入していた価格帯よりも低価格帯の商品に移行するので、数量は変化しなくても、売上高で見れば下がるのは仕方ない。

しばらくは低価格帯を扱っている小売業は顧客が増える傾向にあるのだろうが、売上高としては、元々が低価格なので量が増えても、そんなにプラスの影響には見えないのだろう。
一方で、中価格帯以上の小売業は、売上高が減少して、その期間がどれくらいになるのか、その期間中に耐えられるならば戻って来るだろうが、期間が延びれば、いずれかの時点でリストラや店舗縮小、最悪は破産などもあるのだろう。

この中価格帯の会社を維持させるような政策はあるのか?消費者に可処分所得を増加させるような補助金や減税政策を打ったとしても、将来の消費額増加の不安があれば、効果は小さくなるのだろう。
そう考えてみると、企業側に対して減税措置や補助金を入れる方があるのか?それはゾンビ起業を産むだけなのか?
社会全体の厚生を考えても、あんまり意味がないような気もする。

景気後退期における政府の市場へのアプローチとして正しいor効果が高いものとはなんなのだろうか?

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