日系企業の豪州不動産投資は活発だった2023年

2023年の日系企業による豪州への不動産投資の金額が20億豪ドルだったとCBREが発表した。
前年には1億豪ドル程度だったということで、1年間で20倍、1,900億円近い金額が豪州の不動産市場へ投資されたことになる。

日系の大手デベロッパーである、三菱地所、三井不動産、大和ハウス工業などが商業ビル開発や投資をしており、またハウスメーカーの積水ハウスやNTT都市開発などが住宅地開発を行うなどしており、不動産投資への資金流入が大きくなっている。

日本の企業が日本で安い金利で資金を調達して、高い利回りが見込める豪州に資金を投入しているという観点があるのだろう。
実際に住宅に関して言えば、恒常的に住宅供給が不足していて、住宅価格が上昇しているという豪州の特徴があるので、住宅開発は収益を産み出す機会として魅力的な面が大きいと思う。
また、人口増加を国の政策として打ち出していることから、労働市場も大きくなれば、商業不動産やオフィスビルなども需要が増加して、収益機会になることは期待できる。

一方で、豪州は国土が広いが、広いが故に水道、ガス、電気などインフラ設備の敷設に時間がかかるのと、交通インフラも自動車が基本で公共交通機関は中心地から離れるとバス中心になり、住宅開発をしても、魅力的になる地域とそうでもない地域に別れていく可能性を感じる。

残る点としては、住宅取得のためのローンの借入基準が厳しい点もある。
住宅ローンを借り入れるには、住宅価格の20%を現金として準備して、銀行に預金を行う必要があり、それを準備する期間はローンが借りれず、また開発側も販売が進まないと建築許可がおりないなど、買い手がいても制約が大きい、という話を聞いたことがあり、景気が良くないと住宅は売れないが、価格が上がりすぎると買うための準備資金の手当が難しい、ということになるのだろう。

不動産価格を安定的に維持するには良い政策や制度のような気もするが、制約が厳しいことで延々と住宅不足は解消されないまま進むのか???という想像もする。
まぁ、反対側では、持てるものはより豊かになるので、国策として資産所有によって老後資金を手当させているという考え方もあるのだろう。

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