具体的な数値での確認はしていないものの、なんとなく感じているここ数年の流れとして、金融商品の中で「プライベート」が増えているような気がする。
ここで想像している「プライベート」は、上場されている商品ではない、市場参加者の誰でもアクセスできる商品ではない、というもの。
例えば、「プライベート」の反対にあるものとしては、上場株式、公募債券(機関投資家向け私募債券も含む)。「プライベート」は融資、上場されていない会社への出資、ファンドへの出資などを想定している。
なぜ増えているように感じているのか、というと、いくつかの投資信託でプライベートデッド、プライベートエクイティという言葉がついている商品が、大々的に個人向けの投資信託として販売されているものを見たから。
個人向けの投資信託の勝手なイメージは、テーマを決めた上場株式や、国を絞って投資していて、ファンドマネージャーが運用しているものの、投資家もファンドマネージャーが見ている情報の一部(太宗なのか、半分なのかなど範囲はありそうだが)を確認する、考えることができる状況があると見ている。
その理解の中で考えると、「プライベートデット」、「プライベートエクイティ」は投資家がアクセスできない情報に基づいて運用されているので、投資家はファンドマネージャーが保有している情報にはアクセスできないし、ファンドマネージャーを信頼して投資を決定するだけになる。
では、「プライベート」と「パブリック」ではどちらが、どの観点で優位なのか?
市場の関係者を出し抜こうとするならば、情報の非対称性が源泉なので「プライベート」の方が圧倒的に優位なのだろうと認識している。
そして、プライベートの情報は、どこに、どういう意図で集まるのか?
どこに、というのはお金を運用しなければならない場所で、かつお金を集められる会社/人に、
どういう意図で、というのは情報を提供する元が手数料を獲得したいため、に集まるのだろう。
そう考えると、銀行や証券会社のような情報を集めて提供するサイドに、これまではある程度の情報の非対称性の観点で優位があったが、現在はお金を集められるサイドに情報が集まって非対称性の観点で優位が出てきているのだろう。
一部の超大手の投資家には情報が集まり、かつ非対称性で稼ぐ機会が発生して、そこに投下する資金は世の中の法人や個人の投資家から集めてくる動きになっているように見える。
証券会社の存在意義は、情報収集と提供でどれだけ手数料をもらえるか、ブローカレッジでビジネスを作るか、ということになってきて、自分たちの腕で稼ぐ機会が減少してくるのだろう。
証券会社のビジネスは、これまでもブローカレッジで稼ぐ傾向が強かったが、伝統的な証券業はより一層、価格競争が厳しくなり、資源を投下する余地が小さくなるのだろう。
ブローキングビジネスは、機械化が進んで、意思決定は人間がするが、それ以降の作業は自動化、省力化が将来の動きになるとすると、機関投資家向けの株や債券のセールスの価値はどこで産み出されることになるのだろうか。
情報伝達機能だけになるのであれば、安いコストしか払えなくなるし、高いコストを払うには、独自の視点を持ちながら動けるような人物が必要なのだろう。
ただ、そういう人物は証券会社のセールスではなく、将来的には投資家側になっても同じ能力が通用するので、報酬の高い方に流れていくのか。
初めのテーマに戻って、情報の非対称性で稼げるのか、という問いに対しては、引き続き稼げる余地は大きく存在する。ただし、情報の非対称性を保持して、活用できるサイドがセルサイドではなく、明らかにバイサイドに移り、かつ大きくなればなるほど、その非対称性は有効になる、ということ。
一つ問題になりそうな点としては、大きなお金を集められるため情報の非対称性で有利になるが、集まる金額が大きくなりすぎて、運用する先に困る、または自分が動くことで市場環境を動かす可能性が高まってしまう、という点だろう。
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