名目と実質の違いと心理的印象

オーストラリアの名目賃金が2023年は年率で4%上昇していると統計が公表された。上昇幅としては26年ぶりの水準で大きなものだ、という話だが、それはあくまで名目レベル。

インフレ率は年率5.4%なので、実質でみれば賃金は減少しているということになる。なので、民間のエコノミストなどは、名目賃金の上昇があったからといって、実質賃金が上がっていないので、政策金利の引き上げ圧力には関係ない、というコメントをしている。
確かに、実質賃金が上がらないと、生活面での余裕は生まれてこないので、本質的な意味での経済成長には繋がらない、という点では納得。

一方で、すでにインフレの方が上がっている中で、賃金上昇がついて来ているので、家計面では「以前は厳しかったが、余裕が出た」という心理的な効果は出てくるのだろう。
減っていたものが戻ってきているだけなので、本質的な意味はないが、気持ち的な面でプラスの効果は出てくるので、経済指標的には直前に出ていたものからは回復した方向に見えるのだろう。

経済をコントロールするレベルでの関係者と実際の生活者の感覚は一致していても良いだろうし、一致していなくても良いのだろう。
その意味では、生活面で厳しかったという気持ちが、少しプラスになったと思う方が、全体的に良い効果をもたらすような気がする。

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