個人の消費動向をどこまで追いかけられるのか。

オーストラリアの大手銀行が住宅ローンなどの返済延滞や債務不履行に備えることを目的に、顧客の支出状況のデータを追跡する動きを準備している。

オーストラリアでは、現金も決済手段として流通はしているが、ほとんどはデビットカード、クレジットカードで決済が行われている。金額の大小に関わらずカードを使うことが、一般的な状況にある。
だからこそ、カード使用状況でどこにどれくらいの金額を消費したのかが、銀行側で把握可能な状況となる。

具体的にはガソリンの給油状況や小売店での支出状況などを見ていくらしい。
確かに、生活必需品関連での支出に対しての状況が芳しくなくなると、必然的にローンの返済に充当できる資金も厳しくなるのは明白なので、裁量的支出ではなく、必需品への支出を追いかけること自体は判断するための材料として有効なのだろう。

なお、そのデータをみて、銀行側は債務者に対して返済のアドバイスをしたり、引当金の引き当て金額を検討したりするらしい。
アドバイスといったところで、無駄遣いがあれば効果はあるだろうけど、何を持って無駄遣いと考えるのか???個人ごとに好き嫌いの傾向があったり、生活スタイルに差があるのが通常だろうけど、およその一般的な人物像を設定して、その状況から外れていたりするとアドバイスをしてくる可能性があるのだろう。

それはそれとして、個人が自分の資金の支出状況について銀行に情報提供することをそんなに簡単に同意するのだろうか?という疑問がある。
仮にローンを借りている人は、ほぼ強制的に借入契約の変更のような形で、個人が特定されるレベルで情報提供が必要になるとしたら、あまり逃げ場がないのだろう。
それでも、支出開示が気になる人は、現金を引き出して、現金で使用するか、他に銀行口座を開設して、そこに移して使用することになるのか?
そうなると、当初の目的の資金繰り状況はなんとか見えるとして、支出先に関してはブラックボックスになるので、アドバイスするにも金額面でのコメントしかできなくなるのか。

それでも、収入と支出の関係性が金額面で明らかになるので、不履行に陥る可能性がある人のデータ収集と引き当て基準の設定に関しては有効な手段になるのだろう。

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