オーストラリアのコンサルティング会社(ポリス•パートナーズ)が、家系の裁量的支出に関してレポートを出したらしい。
インフレと金利上昇を受けて、裁量的支出を減少させていることがわかったということ。
ここでの裁量的支出は家電、外食、スポーツジム会費、旅行、投資、貯金などに分類しており、賃貸住宅に住んでいる家計は平均的に年間1.33万豪ドルを削減、住宅保有者は7,200豪ドルを削減しているとのこと。
インフレに関しては,住宅を賃貸でも保有でも関係なく,生活コストが上昇するので,その生活費を賄うために裁量的支出を抑える傾向が出てくるのは想定通り。裁量的支出が減少することで,その項目に関連するインフレの加速スピードは押さえ込まれるのだろう。
とはいえ,エネルギーなど別の角度で製造コストが上昇している場合においては効果は限定的なんだろう。
住宅を賃貸している家計の場合は,賃貸料の上昇,今後の更なる上昇などを懸念して,手元資金を潤沢にしたくなる傾向が強まり,当然の結果として裁量的支出に回される資金が少なくなる。
住宅を保有している家計に関しては,(1)住宅ローンを抱えている家計,(2)住宅ローンを完済している家計で状況は異なることが想像される。
(1)に関しては,金利が上昇しているため住宅ローンの返済金額(変動金利での借入)がすでに上昇、これから上昇することが予定されているので、こちらも手元流動性を潤沢にしておくニーズがあるため、裁量的支出は減額する傾向になることが想像に難くない。
(2)に関しては、すでに住宅ローンの返済が完了しているので(1)のような金利上昇に伴う裁量的支出の減額の必要性はない。一方で金利が上昇しているので、預金部分に関しては利息収入が増加することでその部分に関しては手元流動性が増加するので、インフレ対応または裁量的支出を増加させることができる余地がある。
では(2)に該当する家計はどのような家計として想像できるのか?
引退世代で住宅ローンを返済し終わっている、現金で住宅を購入できる、というような家計になるのだろう。引退世代の場合は支出額が、勤労世代よりも少なくなる傾向がありそうなので、裁量的支出に関しても増加したとしても影響度は大きくないかもしれない。
現金で住宅を購入できる世帯というのは、お金がそもそも多くあるので、たとえば車を何台も買う、家を何軒買う、外食の単価を上げる、といっても限界があるだろう。
そのような状況を想定すると、全体的に裁量的支出が減少する傾向は平均的な世帯からの支出減少が大きく影響を及ぼすことが想定されるので、そこへの政策面でどのように影響を与えられるのか、などがポイントになるのだろう。
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