豪の雇用状況は堅調なので、利下げの可能性は低い、利上げは物価次第なので、為替は少なくとも円高は少し遠そう

18日にオーストラリアの失業率が公表された。結果は4.1%で前月よりも0.1%上昇して、失業率としては悪化していることになる。

だが、内容を見てみると「悪い」と単純に評価するのは、少し違うような内容になっている。
具体的には、就業者数は5万人増加しているので、失業率が上昇したのは求職者数が増加していることが背景にあり、労働参加率も上昇している。

失業率だけをみると悪化となっているが、今まで就労しようと考えていなかった人が労働市場に参加しようとデータに掲載されてきている。
労働市場に今まで参加していなかった人が参加するように変化している要因として想像されることは、
(1)生活が苦しくなってきて、労働市場に入って来ざるを得なくなった。
(2)労働市場での賃金水準が上昇して、働き始めても良いと考え始めた。
(3)求人職種と求職者のスキルや条件がマッチしていない。

現在の状況は、求人は多く存在していて、賃金も上昇している状況になっている。
そのことを考えると、2の人が多くなっていて、実際に就業者数も増加していることの状態と合致するように見える。
これまでは、就業して獲得できる賃金に対しての評価が時間価値よりも低かったのだろうが、最低賃金が引き上げられたり、人手不足で各企業が賃金水準を上げたことで人手が集まり出している。
あと3の要因もあるのだろう。
建設やホスピタリティの人員は少ないが、スキルが必要なので求職者の水準がマッチしていないので、失業率が上がってしまう結果になっていると想像される。
1の要因は、ゼロではないだろうが結果を評価する観点では1の要因のウェイトは小さくて良いのだろう。就業者数が減少している中で失業率が上昇しているのであれば、検討していく必要がある要因になるだろうが、現状はそうではないと考えられる。

この結果を受けて、RBAはどう動くのか?
雇用状況は失業率が上がっているだけで堅調な状態が維持されている。と判断することができるので、少なくとも利下げの動きをする可能性は大きく低下している。
一方で利上げをするかという視点に関しては、インフレの結果に大きく振らされるのだろう。

直前のインフレ率でも、RBAのターゲットレンジの2−3%からは高い水準で推移していて、その下落のスピードも緩やかな状況で、目標レンジに入って来るまで、あと1、2年かかりそうな雰囲気がある。
そう考えると次に発表されるCPIが高い水準で出てくると、利上げに対する期待が高まるし、実際に利上げに走る可能性もある。

日本の金利が上がらないのであれば、豪が利上げすると豪ドル・日本円の為替レートは豪ドル高になっていくのだろう。
現在の水準が106円から107円近辺に止まっていることをかんがえると日銀が利上げせず、RBAが利上げすると108−110円が実しやかに気になり始める気がする。

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