豪銀行の決算は好調になる要素がある

豪銀行の2023年度の決算は、中央銀行の利上げで貸出金利上昇、それによって利益が大きくなったことで好調な決算だった。その後に、住宅ローンの返済金利が上がっているので、貸し倒れが増えて、次年度以降は決算はよくなくなる可能性が高い、というような話が多く出た。
ただ、ここにきて、想定していたほど経済状況が悪くならないのではないか???ということで、決算も良い方向で期待できそう、という雰囲気が高まっているらしい。

昨年度の豪銀行は、利息収入が大きくなり、家計がインフレで厳しくなってきている中で大きな利益を残したということで、一部で批判的なコメントが流れたりもしていたが、一方で将来の貸し倒れリスクを見込んで、引当金を大きく積んで対策もしている、というようなことになっていた。

ただ、ここにきて、貸倒引当金の金額を想定した経済状況よりも、現在の経済状況、将来の経済状況は思ったほど悪くない(=それほど貸し倒れが発生しない)という雰囲気が出てきている。
仮に、思ったほど貸し倒れが発生しないのであれば、引当金を戻して、それが利益計上できることになり、結果として引き続き銀行の決算は良い、ということが継続される可能性がある。

実際にAPRAも銀行の資本状況は健全で住宅ローン返済者の返済ストレスに対しても対応できている、というようなコメントが出ているので、想定以上の経済的な問題が発生しない限りは銀行の健全性も決算状況も良好な展開が継続するように見える。

経済環境が戻ってきて、住宅ローンや企業の借り入れが増加していく局面になれば、さらに銀行の本業での収益性が上がり、株価に対しても良い結果をもたらすのだろう。
政策金利が引き上げられて、貸出金利もそれを反映できている状況であれば、銀行業態は収益性高まるし、これまで住宅ローンの貸出競争で金利引き下げや、スペシャルオファーのような収益圧迫要因がなくなるので、収益性に合った貸し出しを行い、それが銀行の成績につながることで、豪経済全体に対してプラス方向に働く可能性が高いのだろう。

日本でもそろそろ政策金利は上がってきそうだが、上がるとしても変化幅は中長期の金利水準のほうが大きな影響を受けるだろうし、短期金利が上がったとしても、それが即座に貸出金利に転嫁されるような環境は生まれにくいのでは?と想像する。
貸出金利の引き上げ、預金利息の引き上げの両面を実施することで、経済を回すような環境を作り上げるのが良いのだろう。

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