引き続きでオーストラリアの年度予算に関する話題。
今日、気になったことは「住宅供給不足と移民流入」は両立するのか?というところ。
住宅供給不足は、ここ数年に渡って延々とテーマになっていること。
なぜに話題になっているかというと、住宅供給が不足していて賃貸住宅の賃料が毎年2割引き上げられるような状況が発生していて、それが個人の家計負担が重くなって不満が高まっているため。
この状態が起こっているのはなぜか?ということに関して、移民の流入や学生の流入が多くて、需給バランスが崩れてしまって、供給側が力を持っていて、賃料引き上げを行なっているから、ということらしい。
賃料が引き上がることで、借りている人は生活が苦しくなる、貸している人は豊かになるのか?
苦しくなる方に関しては、あまり深い議論も必要なさそうだし、さらりと納得できるような面が多いと思う。
一方で、貸している側に立って考えてみると、確かに賃料収入が増えるので、その側面だけ見れば豊かになる、という話はある。
その反対側で、ローンを借りて、賃料収入を得ている場合は、ローンの金利上昇で返済額増加しているので、賃料増加分vs返済額増加の関係次第になる。
いずれにせよ、家計の負担が何らかの形で増加している可能性がある人は増えているのだろう。
その観点で政治家としては、支持を得るには家計の負担が減るような動きを取るのが目に見えてわかりやすいので、住宅供給を増加させて供給不足を解消することが、わかりやすさで一番。
その次の策として、人口流入を一時的に抑制して住宅の需給バランスを取りにいく、ということで移民の流入やビザ発行に関して抑制するような動きが出ている。
ここで個人的に気になっているのは、40年後に人口を4000万人に増加させる、という目標が2023年に発表されていたけど、これの見直しはしないのか?影響は微小だから、見直す必要性もないのか?というところ。
人口動態は出生率の計算で、20−30年後の姿がある程度正確に見えてくるので、2023年に目標を立てたときの前提条件が、今回のビザ発給の抑制で変化して、将来見通しが変化するのかな?その場合は見直したことをどこかで公表するのか?という点だけが、今のところそういう話題にはなっていない。
これは関係ないから話題になっていないのか、将来見通しの話は今の時点で考えるテーマとして気にされていないからだけなのか…
一応、政治家としては移民でも住宅建設など技術がある人に関しては門戸は開いたままにする、ということで整合性は取れている、ということになるのだろう。
合わせて、東南アジアからの低技術の労働者を抑制することで、安い労働力は入ってこないが、家の問題は避けることができる、ということなのだろう。
低技術の移民は、低賃金労働に従事する傾向が強く、その低賃金労働になる職種から国民の労働機会を奪うという点でも選挙対策にはなるのかもしれない。
こんな展開は先進国ではよくみられるのだろう。特にアメリカの例は典型的なのだろうな。
低賃金労働者を受け入れないからといって、自国民がその職種に従事するかというと、そうでもないので、結局は国家全体から見るとサービスが低下してしまうだけになるのか?
なんだか大きな将来を考えると、政治家の近視眼的な行動に見えてしまう。
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