豪のGDPは成長しているが、低成長

2024年1月ー3月の豪GDPの成長率が+0.1%と公表された。予想の0.2%よりも低い成長率となったが、引き続き成長している結果は確認された。

気になった点は、家計の支出は増加しているが、電気代やガス代など生活必需品関連の支出が牽引していて、裁量的な支出面は抑制傾向にあるという点。
使わざるを得ないものでGDPが成長していると、家計の体力は削られていってしまうため、どこかで限界がきてしまい、成長も止まってしまうのだろう。
賃金上昇などがあって、消費が活発化するならば、正の循環で経済が回っていく展開もあるだろうが、今のところは見通しがあまりはっきりしない。

その際たるものとしては、家計の所得に対する貯蓄率が下がっているということで、入ってくるものを支払に充当してていて、将来の消費に回すためのものが少なくなっているという状況になる。
この中で、さらにエネルギー価格が上昇したり、物価が上昇すると、生活自体がままならない状況に追いやられる家計が出てきてしまうのだろう。

仮にそのような家計が増えた場合、政府は生活困窮者に対して補助を行う必要が出てきて、社会保障関連費用が増加することになる。
一方で、景気は鈍化から悪化方向になることが想定されるので、政府の歳入は減少してしまって、歳出は増加するが歳入は減少してしまう、という悪循環になる可能性が高い。

今後さらにGDP成長率が鈍化して、マイナスに転じると本来であれば金融政策的には金利を引き下げて、景気を刺激することを考えるのだろうが、物価だけが引き続き高止まりになっている状況が、今後を見えにくくしているように感じる。

RBAは議会での証言で、インフレが高止まりするならば、金利を引き上げることを検討するとコメントしていることもあり、景気を維持するため政策を運営しているが、どこに向かうのだろうか。
今のところは雇用市場を維持するために金利引き上げをしていないとコメントしているので、景気悪化局面が見えてくれば、利上げに関してのトーンを引き下げて、利下げ方向のトーンを強めてくるのだろう。

いずれにせよ、中央銀行は指標に基づいて動いてくるので、今のところは利上げ方向のコメントをしているが、市場のエコノミストは年内の利下げ方向の予想を見ているので、どちらが正しい結果になるのかは将来になってみないとわからない。

個人的には、利上げは少し難しそうな気がしている。というのも、インフレについて検討していることは理解するが、利上げを行うとローン金利が上昇することで、家計の返済額増加による景気悪化へのインパクトの方が大きく出てくるだろうと見ているため。
一方で利下げになるか、というとそこまで景気が悪化するとのはっきりとして見立てがないので、金利維持方向かと考えている。

その場合、日本円と豪ドルの為替水準は、金利差が縮まらないのでしばらくは105円近辺をウロウロしてくるのだろう。

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