豪の経済指標は良いが、本当の実力なのか

5月の小売売上高が公表されて、結果は予想0.3%増加を上回る0.6%増加となった。
小売が増加している点に関してはポジティブなので、そのまま捉えれば良さそうだが、中身を見てみると、どこまで額面通り受け取って良いものか?考えてしまう。

具体的には増加している項目と減少している項目を見ると、必要になるものを買っているだけで、追加で消費をするような動きは出ていない様子。
増加している項目は、食品や家庭用品で、減少している項目は外食やデパートにあっている。
合わせて年度末セールを前倒しでやっていた点もある。

それを考えてみると、表面上は指標は改善しているので特に問題視しなくても良いだろうが、中身を見て見ると、個人消費は額面では伸びていても、必需品の購入が伸びているだけで、経済を加速させるような消費にはすぐに結びつかないような感じを受ける。

インフレで物価水準が上昇していているので、同じ消費量であれば売上高は増加するような動きになるし、消費量が減少していても物価上昇分の方が減少分よりも大きければ、売上は増加していることになるのだろう。
そもそも小売売上に名目と実質の概念がないのであれば、絶対額が増加することが経済拡大の動きだと見る指標として適しているのかが疑問。

これに加えて、年度末のセールを早い時期から始めていたことが影響を与えていたという考え方もできる。
6月末の決算年度末に向けて、多くの企業が年度末セールを行なっていて、その中でスタートする時期が早くなっているというものもあり、本来であれば6月に出てくる動きが5月に出てきているだけかもしれない。
という点もよく見ておいた方が良いだろう。

なお同じ日にRBAが6月の議事録を公表しており、その中でインフレの抑制に対してのリスクがあると述べている。
これまでRBAはインフレの目標レンジ2−3%を2026年半ばに達成できると考えていたが、5月の物価指標を見ると予想を上回って上昇しており、インフレが抑制されているのか不透明になってきているように見える。
そのためRBAもインフレが進行している場合には躊躇なく利上げするとコメントしており、議事録で再度それを確認したことになる。

仮にインフレが収まってこない場合は再度利上げを行う基調が強くなり、経済環境をオーバーキルして景気停滞、後退に繋げてしまう可能性があるので、政府としては積極的にインフレは抑制されているとコメントしているのかもしれないと感じる。

体感的には、特に景気が悪くなっている感じは全くしないし、インフレは確実に進んでいる、ということを考えると、高い賃金を支払うことができる環境ではインフレとのライムラグはあるが、半年から1年程度乗り切れば、インフレ率は収束していくような気がしている。

いずれにしても緩やかにインフレが収まり、賃金上昇して、実質ベースで成長を殺すような動きにならないことが大切なのだろう。

コメント