オーストラリアで現金輸送を行っているアーマーガードという警備会社が資金不足になり、利用者である大手銀行、大手小売から資金援助を受けて事業を継続することになった。
すでに昨年時点から、経営が厳しく、支援要請を出していたが、当初は支援元になる銀行などの要求とアーマーガードの受け入れ可能な目線が違っており進展しなかった。
だが、現金輸送事業がなくなると銀行側も困るので、結局のところは大手利用者が資金を支援するということで、当面1年間の運転資金は手に入れることができたらしい。
コロナが流行して、その影響として現金決済から電子決済へと一気に流れが変化して、多くの小売店では現金から電子決済へと舵が切られたが、国中の全てで現金を止めることは難しいので、現金と電子決済が併存しているところが多い。
併存しているので、現金の管理は残るので、店舗側ではお釣りを用意したり、現金を管理するための手続きと関連するコストが残ることになる。
このコストが面倒なのは、ごく小さな金額だったとしても一定の管理コストがかかるので、現金決済が減少していく中でコストだけが取り残されている点にある。
その典型が現金の輸送業務になっているということ。
小売店の少額であれば、毎日銀行に行って預けて、翌日に引き下ろしてという手間はかかるが、小売店側では人海戦術で間に合わせることもできる。
だが、銀行側は全く反対になり、小売店が毎日預けて、引き下ろして、という行動をすることが増加すると、店舗やATMで管理する現金が必要になるので、そのコストは上昇方向になってしまう。
現金輸送業者は、様々な会社から業務を受けていたのだろうが、その相手先が減少していくが、コストは大きく減らないので経営が厳しくなっていく、という悪循環。
その中で倒産して業務がなくなってしまうと、今度は利用者である銀行などが混乱するので、利用者がコストを負担するという構図になっている。
そう考えると、ごく自然な資金支援にも見える。
本来は効率化で乗り切るというような話なのだろうが、現金管理に関しては効率化しても物理的に存在しているものを、どうやって管理するか、という問題は残るので避けられない課題なのだろう。
コストが色々と周り回って、サービスや商品の価格に負荷されていくのだろう。現金を利用しない人たちも含めて、現金利用者のコストを負担しているような構図に見えるだろう。
これは、電子決済を導入する費用を電子決済を利用しない人も負担していることと変わらないので、全体としてはコストが上がるだけ、という話になる。
現金決済がゼロになることは、ほぼ困難なのだろうと考えると、現金の利用に関するコストを下げることは限界に近付いているおかもしれない。
現金利用を減らすようなインセンティブを持たせるような作戦としては、カード決済だと現金決済よりも安いとかポイントがつくなどのわかりやすい経済的なインセンティブが求められるのだろう。
仮に、このインセンティブによって現金利用が90%下がったとすると、現金管理のコストがゼロにはならないが、多少は減るのだろう。これが全体の利便性やコストを下げることになるならば、やってみる価値はあるのだろう。
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