豪4大銀のWestpacとNABのそれぞれが消費者マインドと企業景況感を公表。
消費者マインドは、相変わらず悲観モードで前回から更に低下。
企業景況感は楽観だが、前月からは低下。
両方を見て考えてみると、個人はいまいちよくない感じを受けている、企業はそこそこの状況が継続しているが、積極的に自信を持ってよくなっているとまでは言えない、というところだろう。
企業の業績は悪くないと感じているということは、そこそこの展開でビジネスが進んでいると感じているのだろうが、それが労働者の給与に反映されるまでには時間がかかるので、個人の調査ではまだ悲観状況が続いているのだろう。
特に個人の調査では、インフレが継続している状況があり、RBAが利上げをする可能性が高いと見ていることから、しばらくは生活状況が厳しいと見ている、ということが反映されている。
実際にガス、電気の料金は上昇が続いており、契約している会社から「値上げの連絡」というメールが来ても驚くようなことでもなくなった。
ちなみに、値上げ連絡が来る中で、合わせて掲載されているのが、「支払いが厳しい時は補助策がある」というお知らせもついていて、結構な割合で厳しい状況に直面している家計もあるのだろうと想像できる。
企業景況感に関しては、全体の数値は楽観で前月よりは低下、となっている。
その中で、州ごとの状況は分かれていてQLDは上昇、TAS、NSW、WAは大きく低下している、ということ。
なぜQLDは上昇したのだろうか?
ガスなどのエネルギーや鉱業関係が良い状況なのかと想像するところ。ただ、工業であればNTやWAでも上昇していて良さそうな気がするが、そうでもないのでエネルギーなのか、観光やビジネスになっているのかもしれないが原典を見てみないとはっきりは言えない。
これに直接関係するかはわからないが、ノンバンクの融資が過去5年で45%増加しているというレポートがシティバンクから出ているらしい。
ノンバンクが躍進している背景は、銀行業に対する資本規制の強化が大きな影響を与えているということ。
大手が中小企業向けの貸し付けに関して渋っている状況に対して、ノンバンクがそこに繋げていくということ。
合わせて商業用不動産に対する貸付に関しても同じ影響が出ており、ノンバンクからの貸付が伸びている様子。
ここで気になる点は、ノンバンクがリスク評価をしっかりできているのか、ノンバンクの貸出の原資はどこから来ているのか、という点。
前者は、単純にリスクとリターンが見合っているのか、与信として適正な評価をしているのか、というもの。
中小企業向けのものに関しては、ある程度のプールを考えてスコアリングで貸付を行なっているのだろうから、とてつもなくリスクの高い先ばかりになっていることはないのだろう。
あと商業用不動産に関しては、1件ごとの評価が重要なので、そこに対して知識と経験があれば問題ないだろうが、飛びついて貸出ている状況があると、金額も大きくなるだろうから、そこそこのリスクがあるように感じる。
後者に関しては、原資がファンドから出てきていたり、銀行の融資である場合は、結局のところリスクを市場に満遍なく振り分けていて、シャドーバンク化している可能性もある。
オーストラリアの景況感や不動産市場は、今のところ悪くないので強い懸念を抱く必要はないのだろう。
他方で、どこかが倒産したりすることで、原資が引き上げられるような動きが出てきたら、一気に波が引いて、資金繰りで詰まってしまい、連鎖する可能性もあるので、その点には注意した方が良いのだろう。
そう考えると、景況感がそこそこの状況で推移しているのであれば、ノンバンクでの投資などはOKなのだろう。チェックポイントはマクロの景況感で見ていけば、ノンバンクのプール投資と考えればOKなのかな。
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