住宅供給不足に対して空き家税

オーストラリアのビクトリア州には空き家税というのがあるとのこと。
今回、その対象を拡大しようと州政府が検討中らしい。狙いは住宅供給を促して、住宅に対する需給バランスを改善する目的らしい。

対象になるのは、メルボルンの一定の地区にある空き家に対して不動産価値の1%の税率で課すもの。現在でも900件が対象になっていて、今回の対象拡大で追加700件が対象になる見込み。
年間に6ヶ月以上利用されていない物件が対象で、別荘は除くとのこと。

年間に6ヶ月以上利用されていない、というのはAirbnbになっている物件と、高い家賃設定で入居者がいない物件が対象になるのだろうと想像。
一方で別荘は除く、とあるが、別荘はどういう定義になるのだろう。貸出を予定しているけど、今は入居者が来ないので、とりあえず募集をやめてみると別荘扱いになるのか?

人口増加で都市圏の住宅が不足していのはオーストラリアの大都市でよく聞かれる話なので、それに対してすぐに供給面で効果が出そうな政策としては、ありかもしれない。
不動産価値の1%が、年間家賃の引き下げの何%に該当するのか、そこまで下げることはニュートラルだけど、それでも入居がないと税金分だけ持ち出しになるので、入居者が見つかるレベルまで家賃の引き下げ圧力が強まるのは理屈としては理解できる。

一方で引き下げるとローンの支払いが難しくなる、と判断する大家だと売却に移行するのか?それも住宅供給面ではプラスになるけど、購入できる層がどれくらいいて、購入者が移動して、その空いた家は賃料が低下したり、物件価格が下がるのだろうか?
効果が全てにおいてプラスで出てくることはないだろうが、一部で供給緩和の圧力になる点は正しい気がするので、政策としては興味深い。

日本でも空き家問題は出てくるだろうが、前提条件が人口が減少することで発生する空き家増加なので課税しても積極的な空き家が居住状態になる効果は難しいだろう。
ただ、放置されている状況から売却などへ移行することで、次の開発や土地の利用余地が増える点はあるのかも。更地ならば良いけど、老朽化した建物が残っていると解体費用が発生するので、実際に売却になるとしても価格は下がるし、空き家として放置されている時点で魅力的な所在地でない可能性もあるので効果がやはり無いような気がする。

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